あなたはそんな子じゃないでしょ?


悪い友達でもできたの? スマホを出しなさい!


将来のために今頑張らなきゃいけないでしょ?


成績や評価に響いたらどうするの?


それとも本当は再婚に反対してるの? だったらちゃんと言いなさいよ! もう話は進めているのよ?



途中からお母さんの声がノイズと化していき、気持ちが悪くなる。


たぶん体が拒否反応を示しているんだろう。



「……っ!」


「キャッ! ちょっと綾!」



反抗するほど強い心は持ち合わせていない。


どうしてこんなことに……という泣きそうなお母さんの声を振り切り、わたしはスマホ片手に家を飛び出していた。



「はぁ、はぁっ!」



走っても行く場所はない。


仕方なく昔、優にぃとよく遊んだ公園に入った。



時間は夜8時。


新築の家に囲まれた公園内にもちろん人はいない。


点滅する街灯に照らされた遊具はボロボロで、きっともうすぐここも新しい住宅に埋もれてしまうんだろうなと思った。



衝動のままに、ラインに唯一登録されている彼の名前をタップした。


普段はメッセージでしかやり取りをしていない。


電話をすることに対してハードルがあったけど、そんなの関係なかった。