どうしたらいいか分からず、昼休みは図書室に逃げた。
生徒がぽつりぽつりとしかいない静かな空間で、本を開く。
内容は全く入ってこない。
嫌な気持ちが心の中に漂っている。
サーヤちゃんというあだ名をつけてくれて嬉しかったのに、どうしてこうなったのだろう。
わたしのことを悪く言うのは、この際どうでもいい。
悲しかったのは、友達がつけてくれたあだ名を強く否定されたこと。
名付け親である友達に恥ずかしい思いをさせてしまった。
全部、わたしのせいだ。
友達ができて嬉しくて浮かれていたからだ。
教室に戻りたくない。
心がマイナスに傾きすぎて、どうにかなってしまいそうだ。
ありがたいことに5時間目は理科室での授業。
みんながいなくなってから教室に戻り、カバンを持ち家へと帰った。
自分の部屋でベッドに埋もれて数時間たった頃。
突然、ドアが開いた。
「綾! 学校から連絡あったよ! 無断で早退するなんて、どうして!?」
慌てて帰ってきたらしいお母さんは、鬼のような形相で言葉をまくしたててきた。

