「んーっ! 空も海もおっきーい!」
両手を広げ、くるくると体を回転させる。
わたしを中心にスカートが波のように広がっていく。
「綾、パンツ見えてる」
「きゃーっ!」
慌ててスカートをおさえるわたし。笑いながら見守ってくれる優。
と思いきや、ていっ、とスカートをめくられた。
「ちょっと! ヘンタ―イ!」
社会人になった優はさらに大人っぽくなって、でも、いたずらするとこは変わってなくて。
砂に足を取られそうになりながら、逃げ出した優を走って追いかけた。
ダッシュしても、やっぱり運動音痴なわたしは追いつけない。
見かねた優は、振り返りわたしを待ってくれていた。
あと3歩、2歩……、よし、ここだ。
「えーい!」
足元の砂を蹴り、優へと飛び込む。
彼はおっと、と足を後ろに滑らせながら、わたしを抱きとめる。
海からの気持ちのいい風に吹かれ、髪の毛がボサついた。
優は片手で髪をとかしてくれた。そして、頬に優しいキスをしてくれた。
胸がドキドキする。生きている感じがする。
今、わたしはとても幸せだ。
「綾、大好きだよ」
「わたしも優が好き! ずっと一緒にいようね!」
☆おわり☆