「はーあ。そういうことだったんだぁ」



演劇部の部室のベランダで。朱里ちゃんは口を尖らせている。



噂は他のクラスにも回っているらしく、放課後になった瞬間、朱里ちゃんが教室に飛び込んできて、ここに連れてこられた。


彼女は、いじけているのか、怒っているのか、不機嫌な態度。



「あはは。わたしってキモいよね」


「そうじゃなくて、言ってくれなかったことに怒ってんの!」


「そりゃ言えないよ。幼なじみじゃなくて、本当のお兄ちゃんなんて」



そう伝えると、ふにーっと頬がつねられる。


いたいよぉ、とこぼすと、彼女はグラウンドを眺め、口を開いた。



「びっくりしたけど、あたし……綾ちゃんの気持ち少しだけわかるんだ」


「え……」


「あたしも初恋、いとこだったから。告ったらフラれちゃったけど」



えへへ、と照れ笑いを浮かべる朱里ちゃん。


今は彼氏と別れ、フリーになっている。大和くんとよくラインしているらしい。



引かれると思っていたのに、意外な反応だった。


わたしの真実を受け入れてくれて、こっちこそびっくりした。