世界で一番似ている赤色



はぁ……とため息をつき、ミルクレープにフォークを入れる。


半分になったそれは、上手く切れずに階段状に崩れた。



なんか前にも同じようなこと、あったな。



『学校、楽しくない……』



そうだ、ここはかつて優にぃと来た店だ。



優にぃとの思い出が大きすぎて、どうしても気持ちが前に進まない。


この前だって、優にぃみたいな人を見かけただけで、わたしは彼を振り切り追いかけてしまった。



優にぃとはもう会えない。なのに彼への気持ちは消えない。



会いたい。会えない。好き。許されない。忘れたい。思い出しちゃう。


このループに襲われてばかりで、苦しい。



ミルクレープが苦く感じるほど、気持ちが落ちてきたが……



「ちょっと待って。さっきの写真他の人にバレたら、あたしと大和くんが付き合ってるって誤解される!」


「心配するとこ、そこ?」


「だって大和くんは単なる綾トモなのに!」


「なんだよそれ」


「綾ちゃんの友達つながりってことで、綾トモ!」



朱里ちゃんの明るさにより、わたしも自然と笑顔になった。


最近、朱里ちゃん彼氏と上手くいってないみたいだし、大和くんと仲良くなったらいいな、なんて。