花柄のシュシュ片手に鏡の前で髪の毛をいじる。


髪の毛伸びたし、そろそろ一本結いもできるかな。またいろいろアレンジしてみようかな。


なんてことを考えていると、


「綾ちゃん、こっちの方が似合いそう」


と言って、川瀬くんが高そうな髪留めを手にした。ちょっとおばさんくさいやつ。


彼とはいまいちセンスが合わないらしい。



「それ重そうだし学校でつけれないよ」


「あ、そっか。ごめんごめん」



それから服や雑貨などお店を巡った。


川瀬くんはちゃんとわたしが見るもの・選ぶものに感想を言ってきた。


それいいんじゃない? こっちの方が似合うよ。とか。


真剣に考えてくれるのは嬉しいんだけれど、構われすぎで少し疲れた。



『ねー優にぃ。これとこれ、どっちがいいかな~』


『どっちでもいいんじゃない?』


『もう! 真剣に悩んでるの!』



優にぃと一緒にいた時は、彼は彼でほしいものを見ていたし、わたしも好きなものを好きに選んだ。


たまに選びきれなくてアドバイスをもらうくらい。でもあまり彼は興味なし。



関係が深かったからこそ、自由があった。


もっと真剣に選んでほしいと怒ったことも多いけど。



……って、今は川瀬くんとのデート中!


他の男の子のこと考えちゃだめだ。


しかも優にぃのことはなおさらダメ。