家に帰ると家族3人ともそろっていた。


お母さんには遅くなると連絡しておいたから、大丈夫。



「ただいま」


「お帰り、ごはんできてるよ」



今日の晩ご飯はお母さん特製のチャーシュー丼。


カバンを床に置き、わたしも食卓に座った。



家族3人に向かって「いただきます」と伝えると、


「で、どんな男の子なんだ? 川瀬くんとやらは」


早くも豊さんから質問が飛んできた。



「いい人だよ。頭いいし、かっこいいし、運動神経いいし、優しいし」



ビール片手に不機嫌な顔をしている豊さんに、あえてそう自慢した後、


「お父さんも昔、そんな感じだったんじゃない?」


と一言加えた。


すると、豊さんはブホッとビールを吹き出した。



もともと「彼氏はまだ早い!」と豊さんは反対していたが、無事、ご機嫌取りに成功。



「そうよ。南中の元生徒会長で、いいとこの息子さんだって。成績も学年トップなんだとか。綾、すごい人つかまえたのよ」



ちなみにお母さんは川瀬くんとの交際に賛成派。


付き合い始めた頃、思い切って彼氏ができたことをお母さんに伝えた。


どんな子なの? と聞かれ、川瀬くんのプロフィールを伝えたとたん上機嫌になり、よかったわね、と喜んでくれた。


おかげで月曜のデートも反対されていない。


むしろ、青春でいいわね~と言ってくれる。



「いーなー澄花も彼氏ほしい」


「澄花はまだ早いぞ!」


「だって女子校出会いなさすぎー」


「学校は男と会うために行くものじゃないだろ?」



中2になった澄花ちゃんと豊さんの言い合いに笑いながら、わたしもご飯を食べた。