「お茶入れてくるから、絆と遊んでて。」

お姉さんは、そう言ってキッチンへ行ってしまった。

俺と奈々は、絆のそばの床に座る。

「絆?」

俺が絆に手を伸ばすと、絆は泣き出してしまった。

お兄さんが絆を抱き上げる。

「すまないね。
ちょっと前から、人見知りが始まってね。」

お兄さんが慣れた手つきで絆をあやす。

お兄さんに抱かれて泣き止んだ絆が、こちらをじっと見る。

お姉さんがお茶を持って戻ってきた。

「ごめんなさいね。
絆がいるから、こんなグラスで。」

そう言って出してくれたお茶は、一見ガラスに見えたけど、持ってみるとプラスティック製だった。

中身は冷たい麦茶。

「お茶もね、絆が火傷しないように、
熱いのは入れないようにしてるの。」

お姉さんは、そう言って、お兄さんと自分の分のグラスを置き、俺に哺乳瓶を手渡した。

「海翔くん、絆にミルク飲ませてあげて。」