姫が材料をカートに入れるのを見ながら、その先にあるスイーツコーナーに目が止まった。

「姫、デザート買おう。
何がいい?」

結は、プリンが好きだった。

いつも食材のついでにプリンを買って、夕食後に一緒に食べた。

「うち、フルーツ入りのが食べたいです。
んー、ヨーグルトにしようかな…
でも、やっぱり、これ!!」

姫が選んだのは、大きめのフルーツタルト。

2人分はありそうだ。

「じゃあ、これ半分こにしようか。」

俺が言うと、

「課長もこれでいいんですか?
他に食べたい物、あるんとちゃいます?」

と心配そうな顔をした。

「いや、これ、おいしそうだし、別にいいよ。
あ、もし、姫がどうしてもひとりで全部
食べたいなら、別の買うけど?」

そう言うと、

「そんな訳ないでしょ。
うちの事、どんだけ大食らいやと思ってるん
ですか。」

と口を尖らせた。