「おはよー!」
「おはようございます、楓ちゃん。なおさん。」
「おはよう。」

ㅤ学校に着くと、仲のいいクラスメイトに声をかけられる。小学生と見間違えてしまう程背が小さいのが綾坂楓ちゃん。対照的に首が痛いほど見上げないといけないのが、楓ちゃんのクラスメイトの笹目なおさん。二人は一年生の時から付き合っていて、楓ちゃんとかおらはは同じ委員会で仲良くなった。

「薫ちゃんさ、もうクラス替え表みた?」
「まだ見てないです。」
「じゃあさ、じゃあさ、今から一緒に見に行こー!」

楓が薫の手を引っ張って走り出す、勢いよく本人は走り出したつもりだが正直足の長さ的にはついてきやすいように走ってくれてるようにしか思えない。

「楓ー?あんまり走ると転ぶぞー!」
「大丈夫、大丈夫!楓様に不可能はな!」

なおが後ろから声をかけた時、楓は一瞬薫から手を離し。そのまま前に転んだ。とっても盛大に。

「だ、大丈夫?楓ちゃん。」
「不可能あったみたいだな。」
「……なんてこったい。」

なおが楓を起き上がらせ、薫が制服に着いた砂やゴミを払ってやる。遠目で見たら両親と子供のような構図。

「急に走り出したら危ないだろ、薫まで巻き込んだらどうすんだよ。」
「いやはや……申し訳ない。」
「私は大丈夫ですし、楓ちゃんも怪我がなかったからそんなに気にしなくて大丈夫ですよ。」

「でもなー……。」と歩きながらこんこんと説教をするなおの隣で益々小さくなっている楓を見ながらまた歩き出す。2人みたいなカップルも羨ましいなと思った。