翌朝、天くんには、「おはよう」とだけ言って、無言で朝食を食べ、仕事に行こうとすると、天くんに呼び止められた。

「絆!」

「何?」

私が機嫌の悪い返事を返すと、

「昨日は、余計な事を言い過ぎた。
ごめん。」

と天くんが頭を下げた。

天くんが結ちゃん以外に頭を下げるのを見るのは初めてで、ちょっと驚いた。

「なんで?」

「は?」

「なんで天くんが謝るの?」

「そりゃ、俺が悪いと思ったから。
絆は、俺のたった1人の娘だと思ってるから、
昨日は、つい心配で言わなくてもいい事まで
言い過ぎたと思う。
悪かった。」

天くん、すごい。

私みたいな小娘に、しかも最愛の奥さんの元カレの子にこんな風に頭を下げるなんて、私ならできない。

「ううん。
私こそ、ごめん。
天くんがかわいがってくれる事に
甘え過ぎてた。
昨日の態度はかわいげがなかったよね。」