どれくらいの時間がたったのだろう。
時間の感覚がにぶるくらい、目の前のあなたに夢中だった。
「わかるか。夕烏」
自分の身体に変化が起きたとき
「なんで……こんな……」
「夕烏の身体は、俺を受け入れる準備を始めている」
(わたしが、幻さんを……)
「夕烏が俺を欲しがってる証拠」
「……っ、恥ずかしい」
「俺は嬉しい」
それは、なにもおかしなことではないと。
わたしが知らないことを教えてくれた、幻さん。
「準備って。……どのくらい、かかるんですか」
たとえば 十分とか 二十分とか
そういう単位で想像していたら
「夕烏が安心できるまでだな」
「わたしが……?」
予想外の答えが返ってきた。
「初めては、色々あるだろうと思う。不安も。怖さも。それから――ひょっとしたら痛みも」
「……!」
「俺の努力で少しでも和らぐなら。時間かけられるだけ、かければいい」
「……俺は優しくないよって、言ったのに」
やっぱり幻さんは、優しいじゃないですか。
「そうだったかな」
「ほ、ほら。ファミレスに、行くまえに」
「あのときは優しくなれそうになかった」
「……?」
「皆が俺にそういうように。俺の中にはやっぱり悪魔みてえなのがいるんじゃないかと思うことがある」
「……や、」
幻さんの手をつかもうとして、それを止められてしまう。
幻さんは言った。
夕烏の身体ならどんなところも触れたい、と。
夕烏のかわいい声をもっと聞かせてくれと。
恥ずかしくてたまらなかったけれど
恥ずかしさ以上に
「……っ」
「痛みは」
「少し、だけ」
こうしていられることが、嬉しくて。


