って言っても

幻さんはお仕事に向かうから、一人になるけれど。


その間にお洗濯とか、やっちゃおう。


……なにかしていないと色んなことを考えてしまうから。


「夕烏」

「はい!」


行ってきますの挨拶かな。

ちゃんと、笑顔で送り出さなきゃ。


心配させないように。

迷惑かけないように――、


「今日は、もうしばらく一緒にいられる」


(……え?)


「全部話せ」


幻さんなら、

『言いたくないなら言うな』と

きっと、そう言うと思った。


だけど違った。


「今、吐き出せ。俺に。お前の考えていること、すべて」


頭を横に振る。


「言うんだ、夕烏」

「……ぐちゃぐちゃで。汚れた感情です」


聞かせられないよ。

幻さんには、一番、聞かれたくないもの。


「綺麗じゃないんです。わたし」


テレビの映像見ながら

みんなのことが許せないとか考えてしまう。


逃げてきたクセに、こんな騒ぎになってるのに、わたしは間違ったことをしていないなんて考えが浮かんでくる。


こんな汚れた心のわたしは幻さんに愛される資格あるのかな――…。


「綺麗だ」


――正面から、優しく抱きしめられる。


「なにを聞いても嫌いになんてならない。ゆっくりで、いい。だから俺に話してみろ」