総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



「……ありがとうございます」

「とんでもございません。姫。ああ、そうだ」


そういって燐さんが鞄から取り出したのは――。


「見てこれ」


(こ、これは……!)


最初は、男女が写っているように見えた。

でもすぐにそれが愁さんと燐さんだってことに気づいた。


「撮ったんですか!」


(噂の、プリクラじゃないですか……!)


「あの、わたし。これ。ずっと憧れで。……いいなあ」

「そうなのー? そんなこと言ったら明日にでも幻のやつ撮りに向かうんじゃない? キミが満足するまで。なんならゲーセンにある台ぜんぶコンプリートするまで」

「え!?」

「楽しいだろうね。幻と、あの箱の中で、寄り添ってピース」

「……!」

「頭なでなでしてもらう? うしろからハグ? 定番だよね。それとも、チュープリ撮っちゃう?」


チュープリって

チュープリって、あの、チュウですか!?


「いえ、ピースで、大丈夫です」

「幻のプリクラ仕様の顔面を想像したら爆笑不可避だよユウちゃん」


既に笑っている燐さん。


「すごく……顔、変わるんですね」

「ヤバイでしょ、その愁。乙女でしょ」

「……かわいいです」

「正直に気持ち悪いって言ってもバチあたらないよ」

「そんなことないですよ?」

「そのプリクラ見てたらどんな嫌なことも忘れられそうだよ。悩んだり怒ったりするのがバカバカしくなりそう」

「ふふ。それじゃあ、これは、燐さんの宝物ですね」