「怒らせちゃいました、ね」

「平気さ。それより、よかったねー。どっちも可愛いだってさ」

「……ハイ」


愁さんって。

あんなにさらっと可愛いとか言うタイプだっけ?


そんなことを考えながら照れていたら、シャッター音が聞こえてきた。


「幻に見せてあげよ」

「へ?」

「送信完了っと!」


えええ、もう送っちゃったんですか。


「いい感じだよ〜」

「ホントですか?」

「うんうん。ほら見て」


燐さんに差し出されたスマホを覗き込むと、画面には、いつもと雰囲気の違いすぎる自分がいた。

世間に出回っている
“失踪少女”の写真とは既に別人みたい。


ウイッグかぶってマスクをすれば、絶対にわたしってバレないだろう。


(買い物も、デートも、いける)


「さすが! 燐さんの、整形メイク……」


顔をあげると


綺麗な顔した燐さんのドアップが目に飛び込んできて。


「……っ」


思わず、顔を背けてしまった。


(あからさまに拒絶したの感じ悪かったかな)


「その反応」

「……! ごめんなさい」

「んーん。そうじゃくてさ」