「一億倍キミの方が幻から愛されてるけどね」
――そうか。
「そんなこと言わないでください」
わたしが幻さんに甘やかされてること
燐さんからしたら、複雑なんだ。
「愛には種類が色々あると思います」
なりましょうよ。幸せに。
「へえ。イロイロあるんだ?」
「はい」
わたしを見つめる燐さんの目が細まった。
「幻さんをわたしが愛しているのも。幻さんが、燐さんを愛しているのも。それぞれに、愛です」
「ふーん。じゃあさ。ユウちゃんもボクを愛してるの?」
わたしの抱く燐さんへの感情が、幻さんへのものとは違っていても。
大切にしたいよ。この気持ちを。
だから。どうか、伝わって。
「はい」
「愁も、言ってくれたなあ」
「……愁さんが?」
「うん。約束してくれた。ボクに愛をくれるって」
「…………」
「意外でしょ。っていうか、信じられないでしょ。でも、本当だよ。ぐっときちゃった。柄にもなく。あー、これ本人にはナイショにしててね」
燐さんに、そんな風に思える相手ができたことが、自分のことのように嬉しい。
「でもね。正直まだ、足りないんだ。全然」


