「ボクが。強い?」
「はい」
「まあ、そうかもね。メンタルなら、とっくの昔に壊れてるから」
そんなの、強がりなんじゃないですか。
傷ついたり。
幸せ、感じたり。
できるから、ここに、いるんですよね?
「生きてきたんじゃないですか。必死に。それだけで、偉いじゃないですか。どこが恥ずかしいんですか。尊敬します。もっと、好きになりました」
「バカなの。……いや。キミがバカでお人好しだって知ってたけどさ。どこまで能天気――」
「『絶望のフチにいるならもう落ちることもねえな』」
「……!」
「話してくれましたよね。そう言ってくれたひとがいるって」
「…………」
「それって、幻さんなんですよね。幻さんと出会ってからは、燐さん、幸せを感じてきたんじゃないですか。だから黒梦にいる。愁さんとだって。一緒にいて楽しいから引っ越してきたんじゃいんですか。貧乏になったって言ってましたよね。お金より選びたいものが、ここにあったんですよね」
「……っ」
「燐さん、幻さんにとっても愛されてますよね。わたしと出会う前から。変わりたくて、ライフスタイル変えたんですよね」


