「ボクの苦手なやつだよ、そういう理想論」 燐さんの声のボリュームも、トーンも落ちる。 「イージーモードから人生をスタートさせたお気楽な人間が。ハードな人生送ってるやつにまだ頑張れっていうの。何様なの」 「違うっ……」 戸籍、って。 今から作れないのかな。 ケガしたときに不安なく病院に通えるような環境って。 今からでも、実現できないのかな。 それとも。 燐さんは。 (自ら、その選択を避けている?) 「なんにもわかってないよ、ユウちゃん」