総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



「……言ってくれるねぇ」

「わたし、今から、とっても酷いこと言います」

「どうぞ」


言いたくないけど、言います。


「誰もが愛されて生まれてくると、そう望みたいけど……100%は叶いません」


叶っていたら、燐さんは、こんなに苦しんでいない。


「もちろんそうだね。妥協して出産する人はいるだろうから」


本当に?


燐さんは、望まれずに、生まれたの?

そう、燐さんが、勘違いしてるんじゃなくて?


そんな疑問が次々と浮かんでは

わたしの頭の中で、消えていく。


望みを持つことは、ときに残酷だ。

知らないということは、残酷だ。


「可愛い我が子のこと。なにかが原因で、ある日突然、愛せなくなる人がいるかもしれません」

「そうでなきゃ、虐待がこんなに問題視されてないよねー」


でも。

それでも。


「親から愛されなくても。親を失っても。その子たちは不幸になるとは、決まってないんです」


わたしは、決めたんだ。


“幸せになる”と。


そう思わせてくれたのは、

家族だったり。

幻さんだったり。


そういう人がいてくれたおかげで。


だから、わたしも燐さんに

そう思ってもらいたい。


「幸せになる道を選んでいいんです」