総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



“愛されたい”


パパとママがいなくなってから、無意識のうちに、何度も願っていたこと。


「ボクね、売られたんだ。喜んで捨てられたんだよね。まあ、簡単に処理できなくて困ってる生ゴミがあってさ。タダどころか大金で回収されたら。喜びもするんだろうね」


やめて。

自分のこと。


嘘でも、そんな風に、言わないで。


燐さんは、


生まれたときから


愛されたいと、願い続けているのだとしたら。


ううん


もしも、願うことをさえ諦めて生きてきたのなら。


「あれ。どうして泣いてるの、ユウちゃん。ここ、笑うところだよ? 要りもしないモノ作って、生むのもバカげていて笑えるし。それを金に変えちゃう精神も狂ってて。ほんと、笑えてくる」


なんで、笑うんですか。

悲しいときに、笑うんですか。


――そんなの、絶対に、辛いじゃないですか。


「ああ、もちろん、みんながボクみたいなのばかりってこともないからね。無戸籍でも義務教育は受けられるし。両親と暮らして。愛情を注がれてる子も。胸張って立派に生きてる人も、いるからさ。偏見もっちゃダメだよ」

「燐、さん」

「んー?」


燐さんが、指で涙をぬぐってくれる。


泣いちゃダメだ。

わたしが泣くべきじゃない。


泣きたいのは、きっと、目の前の――。


「幸せになることを禁じられて生まれてくる子供なんていません」