“愛されたい”
パパとママがいなくなってから、無意識のうちに、何度も願っていたこと。
「ボクね、売られたんだ。喜んで捨てられたんだよね。まあ、簡単に処理できなくて困ってる生ゴミがあってさ。タダどころか大金で回収されたら。喜びもするんだろうね」
やめて。
自分のこと。
嘘でも、そんな風に、言わないで。
燐さんは、
生まれたときから
愛されたいと、願い続けているのだとしたら。
ううん
もしも、願うことをさえ諦めて生きてきたのなら。
「あれ。どうして泣いてるの、ユウちゃん。ここ、笑うところだよ? 要りもしないモノ作って、生むのもバカげていて笑えるし。それを金に変えちゃう精神も狂ってて。ほんと、笑えてくる」
なんで、笑うんですか。
悲しいときに、笑うんですか。
――そんなの、絶対に、辛いじゃないですか。
「ああ、もちろん、みんながボクみたいなのばかりってこともないからね。無戸籍でも義務教育は受けられるし。両親と暮らして。愛情を注がれてる子も。胸張って立派に生きてる人も、いるからさ。偏見もっちゃダメだよ」
「燐、さん」
「んー?」
燐さんが、指で涙をぬぐってくれる。
泣いちゃダメだ。
わたしが泣くべきじゃない。
泣きたいのは、きっと、目の前の――。
「幸せになることを禁じられて生まれてくる子供なんていません」


