――ワケって、なんですか。
そんな言葉がでかかったけれど、呑み込んだ。
どんな風に話を聞けばいい?
どんな相づちを打てばいい?
なにをしても
今、この瞬間
……燐さんを傷つけてしまいそうで、怖い。
「正確にはわからない。だって、出されていないんだもん」
「そう、ですよね」
「ボクは自分が何者なのかわからない。どんなルーツでこの世に生まれたかも、辿れない」
「わからないって……」
「望まれずして生まれてきた子供」
燐さんがどんな出生の仕方をしたかも。
どんな人生を送ってきたのかも。
少しも想像ができない。
できないけど。
「それが、ボクだよ。ユウちゃん」
燐さんに、そんな風に思わせた大人が、許せないって思ってしまう。
「ボクを作った女はボクを金と引き換えに手放した」


