総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



――ワケって、なんですか。


そんな言葉がでかかったけれど、呑み込んだ。


どんな風に話を聞けばいい?

どんな相づちを打てばいい?


なにをしても

今、この瞬間


……燐さんを傷つけてしまいそうで、怖い。


「正確にはわからない。だって、出されていないんだもん」

「そう、ですよね」

「ボクは自分が何者なのかわからない。どんなルーツでこの世に生まれたかも、辿れない」

「わからないって……」

「望まれずして生まれてきた子供」


燐さんがどんな出生の仕方をしたかも。

どんな人生を送ってきたのかも。


少しも想像ができない。


できないけど。


「それが、ボクだよ。ユウちゃん」


燐さんに、そんな風に思わせた大人が、許せないって思ってしまう。


「ボクを作った女はボクを金と引き換えに手放した」