そんな選択……。
「そんなに悩まないでよ」
「悩みますよ」
「幻を選んで、どうボクに言い訳するか?」
「ちがいます。二人を傷つけないための道を考えるんです!」
「わぁー。ボク、自分がいかに汚い人間かってことを今再確認させられたよ」
そう言いながら、まだ、わたしの髪をいじっている。
「いいなあ。この髪」
「伸ばしたらどうです?」
「伸ばそうかな。でも、ボクは地毛が黒くないから伸ばしてもこうはなれない」
(……黒髪になりたいのかな?)
「ウィッグあるじゃないですか。昨日すごく似合ってました」
「そう?」
「どう見ても美少女でしたよ」
今日は、少年って感じのスタイルだ。
白と黒のボーダーのシャツに、黒のハーフパンツ。
カラフルとモノクロのときの雰囲気が本当に別人だなあ。
「あっ……」
自分の髪をうしろに一つに結っていたゴムを外すと、そのゴムで、わたしの髪をまとめる燐さん。
そのとき、燐さんのほどけた髪がサラサラっとなびいて。
改めて、燐さんが天使みたいだって思った。
「燐さんは、汚くないです」
「ほんと?」
「……ズルいだけ、です」
「褒められちゃったー」
「はい。褒めてます」
「キミのペース狂わせようとしても。狂ってるの、いつもボクの方だったりするよ」
「?」
「キミは綺麗すぎるから適当に扱うの怖いや」
燐さんこそ。いや、燐さんの方が。
何倍も綺麗な顔してるのに。


