総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



そんな選択……。


「そんなに悩まないでよ」

「悩みますよ」

「幻を選んで、どうボクに言い訳するか?」

「ちがいます。二人を傷つけないための道を考えるんです!」

「わぁー。ボク、自分がいかに汚い人間かってことを今再確認させられたよ」


そう言いながら、まだ、わたしの髪をいじっている。


「いいなあ。この髪」

「伸ばしたらどうです?」

「伸ばそうかな。でも、ボクは地毛が黒くないから伸ばしてもこうはなれない」


(……黒髪になりたいのかな?)


「ウィッグあるじゃないですか。昨日すごく似合ってました」

「そう?」

「どう見ても美少女でしたよ」


今日は、少年って感じのスタイルだ。

白と黒のボーダーのシャツに、黒のハーフパンツ。


カラフルとモノクロのときの雰囲気が本当に別人だなあ。


「あっ……」


自分の髪をうしろに一つに結っていたゴムを外すと、そのゴムで、わたしの髪をまとめる燐さん。


そのとき、燐さんのほどけた髪がサラサラっとなびいて。


改めて、燐さんが天使みたいだって思った。


「燐さんは、汚くないです」

「ほんと?」

「……ズルいだけ、です」

「褒められちゃったー」

「はい。褒めてます」

「キミのペース狂わせようとしても。狂ってるの、いつもボクの方だったりするよ」

「?」

「キミは綺麗すぎるから適当に扱うの怖いや」


燐さんこそ。いや、燐さんの方が。

何倍も綺麗な顔してるのに。