かつては“消えたい”とさえ思っていた。
そんな気持ち、もう、どこにもない。
――わたしは、ここにいたい。
「なあ幻。一応釘をさしておくが」
愁さんが神妙な顔つきになる。
「ユウを連れ戻しにきたやつが、どれだけいけ好かないやつだとしても。……怪我させんなよ?」
空冷ややかな空気が流れたあと、
「そんなことするか」
静かにつぶやいた。
「だ、だよな。それを聞いて安心――」
「夕烏に危害を加えるなら、徹底的に叩きのめす。かすり傷程度で済ませるかよ」
――!?
「やめろ。手を出せばこっちが不利だ。こういうのは、きちんと話し合いの場を設けてだな――」
「あはは。ボク、幻がブチギレるところ見たーい」
「見たかねえわ! そうなるとユウだって傷つくことになるんだぞ、幻」
「……それは避けたい」
幻さんは、わたしのことになると
どうやら、ちょっと過激になってしまうらしいです。


