総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



ここで愁の手を離せば


また、ひとりぼっちになれる。


なれるのに。


「安全運転だね」


なに、乗ってんだろ。こんな席《シート》。


「明るいうちから飛ばすかよ」


大嫌いなんでしょ。

オレが。


オレだって、大嫌いなんだ。

キミのこと。

 
「ねえ、愁」

「ああ?」

「キスしたとき。ドキドキした?」

「は!?……するかよ」

「そのへんの女の子よりずっと可愛いでしょ」

「そういうこと言うな」


キミのくれる友情なんてどうせ脆いんでしょ。


「……二年」

「ん?」

「キミなら二年は引っ張れそう」

「なんの話だよ」


こうやって、相手との“期限”を

すぐに考えてしまうクセが抜けない。


「ユウちゃんになりたいな」

「ユウに?」

「幻にも愁にも。スミレにも、サトルにも愛されて」

「…………」

「オレの生き方が間違ってるの?」

「……さあな」

「じゃあ。どう生きればよかったの」

「ひとつ言えるのは。幻は、お前のこと大好きだと思うぜ」

「……は?」

「あいつの頭に仲間を利用してやろうなんて考え、ねーさ。俺にユウを妹みたいに思えと言うならそれが本心だ。余計なこと考えてなんかねぇよ。燐を拾ってきたとき、なんでこんな野郎をと思った。俺の方が何倍も役に立つと思った」

「……そんな感じだよね。キミは」

「だけど今は認めたいと思う。俺は燐に負けてるとこも沢山あって。幻がお前を必要としていて。お前のこと甘やかせてやりたくて、連れてきたんだってな」