最初は弟みるような目でみてきても。
愛玩動物を愛でるように接してきても。
オレが甘いマスクを剥いでオトコになったらそんな関係、終わってしまう。
頼まなくても恋人まがいなことさせたがるようになる。
引き出すのはオレだけど。
落ちるのは、向こう側。
「人間って生き物は、欲望を100%は抑えられないんだよね」
「やっぱり好きなんじゃねーの。エミリさんが。女嫌いなんて虚勢だろ」
「やめてよ。そんな汚い感情じゃない」
「“好き”が、“汚い”?」
「結局オレはエミリちゃんが一向にオレになびかないから素敵だと思えてるんだ。今が楽しいだけ。振り向かれたら途端に冷めてしまう。あんたも女だったんだなってね」
「……そんなこと。わからないだろ」
「わかるさ。オレは最初からエミリちゃんと甘い雰囲気になりたくないしね」
「……友達になりたいのか? メイクとか。趣味の合うような」
「友達? そんなの要らない」
「だったら、あのひとは、お前のなんなんだよ」
「……心が、欲しい」
「は?」
「どうしてあのひとは、あんなにも、想えるんだろう」


