総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)



「アホが。なに疑心暗鬼になってんだよ」

「……!」

「お前には。教えることが山ほどありそうだ」


(は?)


「愁から? ないよ、そんなの」

「大ありなんだよ」

「知らないよ。ボク暇じゃないんだ。もう行くね」


振りほどこうと、腕を上下に動かす。

……力でこいつにかなうわけがない。

両手を使っても、外せない。


「ったく。お前は。そんな……女子みたいな身体で」

「はあ?」


離せ。


「ここまで。たった一人で、やってきたのか」

「……っ」


――離せよ。


「叫ぶよ、痴漢だって。そしたら困るのはキミだ」

「じゃあ口も塞いでやろうか。まだ片手余ってるからな」

「離さないと刺すよ。受験生が、利き手に大きな穴あけちゃっていいの。それとも。めった刺しにされたい? しばらく入院してる?」

「なに慌ててんだよ」

「……は?」

「余裕ないのどっちだよ」

「……!」

「行くな。俺と、来い」


――愁と?


「こんなとこじゃ腹割って話してられねーだろ。黙って俺についてこい」