「ボクがユウちゃんを世話するのってさ。小さな子供にアメをあげて頭撫でる感覚なんだ。妹みたいな家族感覚でもなければ、いつか“そうなれたら”なんて下心もない」


お前は小さな子供になら優しくなれるのか?


「だけどこんなこと、ずっとは思えない。あの子だって“オンナ”だから。いつか、変わる。変わってしまうんだ。ボクがユウちゃんを拒絶する日は近い未来やってくるよ」

「どうしてお前は……」

「永遠の愛なんて存在しないからさ。知らないって残酷だよね、愁」


なんて目してやがる。

なにもかもに絶望したような。

光の宿らない、淀んだ瞳。


そんなに綺麗な顔してるクセに。


テメェは……

なにを見てきた。

なにを抱えてやがる?


【たとえばボクがボロボロのドブネズミみたいだったとして。キミはこんな風に一緒に買い物してまわれるの?】


異様なまでに自分を取り繕うことにこだわる燐。


【恥ずかしいだろ。そんなやつ。生きる価値ないんだよ】


まるで実在する誰かをさすような、あの台詞。


「遅かれはやかれキミは悩まされていたと思うよ」


俺がユウのことで悩むと予測のついていた、燐。


「最初からヤバそうな感じしてたんだよ。一人暮らしの男の家に、女の子住まわせるなんてさ」