ん?
あれ…………?

不意に軽くなる体。
さっきまで私、男の子にーーーー。

「あ…………」


男の子は、地面に伸びていた。

見知った黒髪。
ん?
見知った金髪?

「雅くん…………」



男を強く睨みつけていた雅くんだった。


「いてー何すんだよ‼」

頭を抱え起き上がる男の子は、彼を見て目を丸くした。


「きゃっ」


油断大敵………?

私は男の子に、抱き締められた。

「へへん、これで手出しは出来ないだろう?
愛しのルナちゃんが泣いてますよ‼
やっぱり、可愛すぎルナちゃん」

やだ…………怖い。

浮かぶ涙は、頬を通過した。


「それだけ?

何がしたいわけ?
まあ、返して貰うわ。
そいつ、俺のだから………」

違う。
いつもの、雅くんじゃない。

声だって幾分低いし、目付きも鋭い。
彼だって、気づいてる筈。

「何、でかい口叩いてる訳?
人質取られたらいくら、王雅の総長だって………あれ?」


うん。
いない。

どこ…………?


ヒュン。
今壁に何かーーーーあ。


不意に壁に行く視線。
壁を蹴り高く飛んだ雅くんの長い足は、、

華麗に男の背中に当たった。


そして、ふわり、と私の目の前に来た。

何、今の…………?