「あ、お金」
私は鞄から、財布を取りだそうとした。

「いや、いらないよ。
もう、貰ったから」

貰った?

私は廉先輩を見た。
「ラーメンぐらい、気にしないでよ」


廉先輩。


「ルナちゃんが、元気になるのが一番だよ‼」

廉先輩は、やっぱり優しいです。

「ありがとうございます」

それから、私達は、清水先輩にサヨナラしてまた路地を歩いた。

七時過ぎ。
外は真っ暗だ。

「先輩、今日は色々とありがとうございました。
送っていただいて」


「あれ?
誰かいるよ?あれは…………」


えっ。
それは私の知ってる人。

誰かなんて、分かるよ。

「雅くん…………なんでっ」













「二人で何してた?
なんで、一緒にいるんだよ‼
ルナは、誰のなんだよ」


ねえ、雅くん。

私は雅くんのモノだよ。












「何言ってるの?
彼女、ほったらかしにして、一人で何してた?
考える時間がほしかった?
君、案外ガキだね。

俺はね、彼女を送って来たんだよ。
可愛い彼女を一人で居させる君の方が、よっぽどひどいよ」


先輩………。


「さすがに噂になるだけあるね。
皆が誤解するんで、やめてくださいよ。
ルナのこと好きじゃないなら………「好きだよ。
ルナちゃんのこと好きだよ。
だから、噂のこと否定しないよ」


噂…………?


どうして人は……………。


「否定したかったら、自分でしなよ。
俺は、ルナちゃんを好きなこと噂のこと否定しないから」


「なんで……………、なにも言わないんだよ。
本当に、知らないからな‼」


君が、切な気に走る後ろ姿に。


「やだぁ、雅くんっ、待って‼」


叫んでいた。


どうして、人は皆、噂話に耳を傾けるの?


私は、、どんな噂にも愛想笑い、本気で思ったことはない。

だけど、、私を抱き締める強い力に振り向けば……居たのは廉先輩で。

私を、きつく抱き締めた。
これだけは、分かる。


廉先輩は噂の人。
だけど、幻でも何でもない。
貴方はここにいる。