「ただいま、お疲れ様です」
私はバタバタと塾に戻ってきた。

「お疲れ様です」
お茶目な笑顔を見せる真田先生に、少しホッとした。

「真田先生、さっきは、いきなりごめんね。ありがとう」
私は心から感謝の意を見せた。

「大丈夫です」
どこまでも優しくしてくれる。

「あ、新しいバイト講師5名くらい紹介ありそうです」

「本当に?良かったーちょっと荷物置いてくるね」

「はい、わかりました」


私は2階へいつものように駆け上がる。

「あークルミ、翔太、お腹空いたね。今ごはんあげるねーあ、あーひまわりの種が無くなっちゃう。そうだ、翔太郎に帰り道、買って来てもらおう!」


電話、電話……

私は鞄から、スマホを取り出した。


ブルブルブルブル

ブルブルブルブル

「もしもし、翔太郎?あのね……」


「あー美園ちゃん、穂乃香だけど、翔ちゃん、運転中、どうした?」


私は驚愕した。
私の胸の奥に何か不快なものが強く突き刺さった。

「…」


「美園ちゃん、なんか用だよね?」


なんでまた穂乃香さんがいるの?
なんで穂乃香さんが翔太郎の電話にでるの?
なんで穂乃香さんは、翔太郎から離れてくれないの?
なんで?
この先もずっとこうなの?


「あ、あ、大丈夫です」
私は慌てて電話を切った。



なんでよ?
やっぱりやだ。
やだよ。
翔太郎のバカ…

限度があるでしょ?