(いつ……どこで!?)


目の前のユリウスに心ごと囚われて、まわりの景色に気を配る余裕はなかった。

まだトクトクと高鳴る鼓動を落ち着けるべく深い呼吸を繰り返していると、部屋にノックの音が響く。


「あの、メアリ様! 起きてらっしゃいますか?」

「ロッテ? どうしたの?」


返事を返すと、扉が開いてロッテが顔を覗かせた。


「実はお客様がメアリ様に」

「メアリイイイイイ! 怪我の方はどうだい!? 昨日は問題なさそうだったけど、痛みが増したなんてことはないか!? もしそうだとしたら僕は君を傷つけたクソを子々孫々まで呪ってやるぞ! 毎日捻挫する呪いだ!」

「地味に辛いやつ!」


興奮しながらロッテを押しやって入室し、憤怒。

相変わらずのテンションに思わずメアリがツッコミを入れた相手は、遥々メアリを探しにやってきたジョシュアだ。

昨夜、メアリが視た二つ目の予知。

それは、兵や騎士の治療に追われている宮殿にジョシュアが訪れるというものだった。