あ、そうだ。と、軽そうなカバンから、ノートを取り出した。

「国語でわからないとこあったんだけど」

「ここで勉強するの?」
「一問だけ。一問だけだし、ちゅーしないから、いい?」
「……」

 一つひとつに反応していたら、私だけ倒れてしまいそう。

 それぐらい彼の思考は、人を振り回すぐらいぐるぐる動いている。
 でもそれが、とても彼らしくて輝いているような気がした。