『お兄さんに裏切られたんだ』 そんな勇太の声が脳内で再生される。 「波留多」 「ん?」 「波留多はどうしたいの?」 「あ?」 「勇太のこと」 波留多は少し考え込む仕草をした後、 「あいつがちゃんと笑えるならなんでもいい」 とはにかみながら口にした。 勇太って本当に笑えてないんだ。 あの笑顔で…? だとしたらうますぎる作り笑顔だ。 私でも見破れないんだから。