「それから颯斗くん。もしもの時これを渡すように希愛から頼まれていたんだ」 お兄さんから渡されたのは、桜色の封筒。 封筒の真ん中には【颯斗へ】と書かれていた。 「ありがとうございます」 手紙を受け取ると、おじさん達は病室を出ていった。 手続きとか色々あるらしく、忙しいみたいだった。 だから、俺も病室を出て、中庭に向かった。 希愛と最期に話した、思い出の詰まっている中庭だ。ベンチに座り、封筒を開けた。