「颯斗も食べる?」 隣に座る颯斗に差し出すと、「甘いもん嫌い」とはっきり言われた。 そういえば、あの時もこんな感じだったな…。病院の中庭のベンチに2人腰掛けて、売店のクッキーを差し出すと、同じこと言われた気がする。それでも、1枚だけ食べてくれたんだよね。あの日が、全ての始まりだった。 「あたしね、今、颯斗と出逢った日のこと思い出してる…」 クレープから空に視線を移す。 どこまでも続く空。 あの日も、天気が良かったよね。 こんな風に晴れていたよね。 全部、覚えてるよ。