「あたしね、颯斗の手、大好きなの」 いつもあたしを助けてくれる、優しい手。 「もう、この手で誰かを傷つけないでほしい」 誰かのせいで、颯斗が汚れることないよ。 「絶対もうしない」 「あと、これに懲りたらもうあんな嘘かないで」 そっぽを向いてツンとした言い方。 あたしにだって颯斗が必要なんだもん。 離れていかれたら困る。 「もうしません」 あまりの素直さに思わず笑ってしまった。