あの後どのくらい泣いたか分からない。

気づけばベッドに戻っていて、朝を迎えていた。


いっそのこと昨日の出来事は夢であって欲しかった。

悪い悪夢であって欲しかった。

病室のドアを開け“希愛”ってあたしの名前を呼ぶ颯斗の姿。

幸せに微笑む2人。

そんな一日が来て欲しかった。

だけど、そんな一日は来るはずなく、シーツにできた涙の痕が全てを物語っていた。


「なんでなの…」


昨日あれだけ泣いたのに、また涙が出てくる。

いい加減にして欲しい。

いつになったら枯れるのさ…。


どれだけ泣いても颯斗は戻ってこない。


颯斗と出逢って恋をして、だけどそれは遊びだった。

本気だったのはあたしだけ。

全部現実。

何一つ夢じゃない…。