颯斗には病室を出て行ってもらい2人きりの病室。

なんなんだろうね…。

お兄ちゃんなのに、なんか緊張する。

颯斗といる時とは違うドキドキ。



「いつも、来てたんだね…。大学忙しいのに…なんかごめん」


気まずい雰囲気になるのが嫌で、とっさに思い付いた言葉。



「これ、渡そうと思って。どうしても直接渡したかったから…。タイミングいいのか悪いのか分からないけど…」


渡されたのは1枚のDVD。


「なにこれ?」


思わず、訊いた。

だって、本当に意味が分からないんだもん。


「母さんの部屋にあった」


たったそれだけの返事。

だけど、それだけで、なんとなく予想がついた。

お兄ちゃんは鞄からピンク色のDVDプレイヤーを取り出すと、セットした。