…しかし、こんなオチが待っていたなんて。
想像を遥かに超えている。
マジでびびるわ。
(…あぁ)
秘密の小部屋の壁の落書きの謎もわかった。
まいと…誰だかわかったぞ。
さっきの木元さんの話からして。
だいぶ身近な人間だ。
三橋舞人。昨年までこの高校のサッカー部にいた。
で、隣の月の沢地区に住んでるヤローだ。
俺のサッカー少年団の先輩。俺が三年の時、あっちは六年。小学校は別だったけど。
で、マリアの部下のドラ息子。
で、姉・冬菜の中学校の同級生。冬菜の改造ドローンの餌食になった男。
で、哲太兄ちゃんの友達。
で、俺が今まで見た中で、一番のチャラ男。
キングオブチャラ男。
浮気も納得。
アイツもかなりの超絶イケメンだが、あおこさんがアイツの彼女だったとは。
男見る目ねえな。
じゃ、ないか。
次々と解明された謎に、心臓がバクバクしている。
先代ミスターが女…!
俺の予想と全っ然違ったじゃねえか…。
でも、凄まじいファンクラブを持ったミスターでも浮気されてりゃなぁ…。
…しかし、この一時間後。まさかその二人の騒動に巻き込まれるとは、この時は思わず。
そういや。桃李は、この話知ってんだろうか。
後で会った時に教えてやるか。
かなりビックリじゃね?
近所のお姉さんが、超絶アイドル・先代ミスター。
驚くだろうな?
その驚いた顔、見たいわ。
『えぇー!あおこさんが…!』
なんてな。
楽しみひとつ増えた。
その後、桃李から『お仕事終わりました』のLINEが入る。
速やかに迎えに行くため、木元さんをフードコートに残して学校へと向かう。
…ちょっと寒くなってきたな。
空は今にも雪が降りそうなどんよりとした雲に覆われている。
外はすっかり暗いのに、それでもわかる程。
桃李、外で待ってなきゃいいけど。
正門を通り抜け、正面玄関前にたどり着くが、そこは無人だった。
きっと生徒会室で待ってるか。
中に入ろうと、体をその方向に向けたその時。
正面玄関口のドアがカラカラと開いた。
「おかえり…」
首にぐるぐるとマフラーを巻いてもこっとなった姿の桃李が現れた。
玄関で待ってたのか。
「…おまえ、玄関だって寒いだろ。生徒会室で待っててもよかったんだぞ」
「あ、いいの。そよみセンパイと内緒のお話してたから…」