え…。
油断で隙を突かれたかのように。
思わず、放心してしまった。
それって…。
「おーい!水口!せづマネ!円陣!」
「早く!」
「…あ、はい!」
寝坊したかのように、ハッと我に返って一瞬慌ててしまう。
それを見ていた瞳真は、またプッと笑っていた。
「おまえ、わかりやす過ぎ」
「…こら!」
「さあ、行こう。…お姫様?」
「…こらぁーっ!」
完っ全に、おちょくられている…。
だけど、今はそれもアリなのかな。
アホみたいに心を躍らすのも。
許されるかな。
私、蓑島くんといたこの一ヶ月で、わかったことがある。
自分の本当の気持ち。
宗教っぽい言い方だと、信奉ってやつ。
誰かの愛しいお姫様になるのを待ってるよりも。
その誰かのために、愛しいお姫様になろうとするのが正解。
言ってくれるのを待つよりも。
逃げないで、むしろブチ当たって言わせたい。
「…ほら!せづマネ、早く入って入って!」
「あ、はい!」
「はいキャプテン」
「…水口ぃーっ!俺とせづマネの間に入ってくんな!死ね!」
…それが、願望に隠れていて出てきた、私の本当にしたかったこと。
私のそう、信奉。
********fin*********