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『熊殺し』という日本酒を持ったまま、横川さんは私の方にやってくる。

不思議そうな顔で。



「あ、こんにちは…」

「星月、何でここに?…って、聞くまでもないか」

そう言って、隣にいる蓑島くんをチラッと見る。

「…悠介、あんた。本当に連れてきちゃったの」

「だって焼き肉は大勢が楽しいしょ。っつーか、家にいたのおまえ」

「作業中だったのよ。…星月、こんな遠いところまでよく来たね。お疲れさま」

「う、うん…」

ホント遠かった。とは、言うまでもない。



幼なじみとは聞いていたけど。

まさか、家がお向かいさんだったなんて…!




「あらこんにちは。…ゆら、お友達?」



通りすがりの菊乃さんもこっちにやってきた。

私と横川さんが話しているのを見て、知り合いだと察したのか、頭をペコリと下げている。

「うん。星月はマネ仲間なの。で、悠介のクラスメイト」

「まぁ…!」

菊乃さんの顔がパァッと明るくなる。

そして、手を取られて握手をされた。

「ゆらの祖母の菊乃です!ゆらのことこれからもよろしくね!仲良くしてやってね!」

「え、えぇ…」