すると中から「はーい」と声が聞こえる。

しばらくすると、パタパタと足音がして声の主が姿を現すと同時に。

本日一番の驚き、そしてザワツキに襲われるのだった。

「お、蒸し牡蠣できたぞー」と、蓑島くんのお父さんの声が聞こえる。




「おばあちゃん、また飲むの?もう…」



『熊殺し』と筆書きされたラベルが貼ってある一升瓶を手に、その姿を現す。

いつもの制服でも、いつもの野球部のベースボールTシャツにジャージ姿でもなく。

鮮やかなグリーンのTシャツに、ダメージデニム姿で登場。

緩く巻いた髪のルーズなアップは、いつもと同様おしゃれな感じがする。



「こんにちはー」



…やっぱり!

横川さん!



そして、道路を渡って蓑島家の敷地に足を踏み入れたその時。

彼女はすぐに私の存在に気付いた。



「…星月?」