「おー。菊乃さんだー」

「菊乃さん、おつかれっすー」


酔っ払いのおじさん達が、今一度起立をしてそのおばさんに頭を下げている。

蓑島くんのお父さんも「ちわっす」と挨拶していた。

通りすがりのおばさんは「あらあらー」と手を振っている。年齢は60代くらい?

仲良さげだ。近所のおばさん?


その菊乃さんは、バーベキューの様子を覗き込んでいる。

「今日もやってるねー?今日のメインは何?」

「寿都の牡蠣ですわ。蓑島牡蠣祭り」

「あらあらー。いいわねー」

「菊乃さんもいかがですか?恐らく美味いっすよ。どうせならみんなでワイワイやりましょ」

「あらーホント?!じゃあ私も美味しい日本酒あるのよー!ちょっと待っててー!」


そう言って、おばさんは向かいの家に小走りで入ってく。

向かいの家の人だったんだ。

そして、おばさんは玄関先で中に向かって叫んでいた。



「…ゆら!…ゆらぁー!…ばあちゃんが昨日買った熊殺し、持ってきてちょうだいー!」



…え?

今…。