「せづ、ホントに走るの?」

「うん。大丈夫だよ。無理そうなら歩いて帰ってくるから心配しないで」

「でも…」



翌日、早朝。

玄関先で、お母さんに心配そうに見送られる。

久々のランニングウェアを身に纏った私は、水筒と小銭の入ったボディバッグを背負って、出発した。



久々の早朝ランニング。

足をケガして以来、初めて。

今日、部活は9時集合だから、朝は少し時間があるので、走ってみようと思った。



球技大会で、男子だらけのサッカーの試合に出る。

20分ハーフのミニゲームとはいえ、私、20分走れるんだろうか。

今どれだけ走れるのか、確認しておかなきゃ。



蓑島くんは、今日これから試合で頑張ってる。

私も、頑張らなきゃ。



試合まであと半月。

たかが球技大会だけど、やれることはちゃんとやっておきたい。

みんなの前で恥をかいても…。

それに、久々の試合。

ちょっと楽しみにしている。

どんな結果になるか、わからないけど…。




左手首に腕時計を着けているが。

今日はタイムなんて計らない。

どれだけ走れるかわからないし。