08.11.28.



唾液が汚く思える様になった頃。

私は鍋が嫌いな人間になってた。

折しも巷で狂牛病のニュースが、

恐怖を振りまく時季で

木枯らしが、見てくれを意識した、

機能のほぼ無い、トレンチの、

骨身に、痛く吹き刺す、帰り道。

堪らなくなり、見上げた一件の暖簾を

自然と右手

「よぉっ、おじや(雑炊)なんて、いけるのかい?」



(了)