「あら、ここじゃ見かけない顔だね。」 朝を迎え、 活気づき始めた町を歩いていると、 突然、 後ろから声をかけられた。 振り返るとそこには、 少しふくよかな中年の女性がいた。 どうやら彼女が声の主のようだ。 「旅の人って感じでもないけど…。 あっ、あたしは菊。 旦那と娘でそこの甘味屋をやっているんだ。」 お菊さんが指を指した先には、 赤い暖簾がかけられた店があった。 [丸菊]と大きく書かれた看板から、 店の名前が分かり、 彼女と旦那さんの仲のいいことが伝わったきた。