「スマホ見た?って話」
「スマホ?今日は見てないな」
「やっぱり!返事がないからそうだと思った」
見てみてと言われ、俺はポケットからスマホを取り出した。
画面をつけると、メッセージのお知らせが画面いっぱいになっていた。
差出人は一緒で、目の前に立っている転校生からのものだった。
「ーーーなに、これ」
「私からのメッセージ」
「全部スタンプじゃん」
「へへっかわいいでしょ?」
開いてみると、全部スタンプで、一つ一つ表情が違うものだった。
同じキャラクターのもので、転校生が言うとおりに確かにかわいい。
「・・・遊びでこんなにスタンプはやめてくれ・・・」
「えーちゃんと内容のあるスタンプだよ?」
「?」
「ちゃんと見てみて」
転校生に言われた通りに俺はよくスタンプを見てみることにした。
確かに、一つ一つのスタンプにはコメントがついている。
「キャー、暇、おでかけ?」
「行きたい!」
「・・・行けば?」
俺はスマホをポケットに戻した。
何が言いたいかと思えばそんなことか。
「えー、真司君は?」
「河原」
「行くの?私も行きたい!」
「勝手にすれば」
「わーい」
俺は構ってやらないからな、は心の中で呟く。
転校生は、今からの予定が出来たから上機嫌だ。
いつも別れる場所で、「また後で」と言った転校生は、スキップでもしそうなくらい軽い足取りで帰って行った。


