「おーい、全」
「ん?なんだ?」


1人の男子が全に近寄ってきた。


「おー、悠宇どした?」
「昨日さ、本屋行ったら、全が集めてる漫画新作出てたからさ、買った?」
「え、まじ?なんの漫画?」
「ほら、TWOピースの最新刊」
「まじか!まだ買ってないー!今日買いに行くわ!」
「もし、買ったら貸してくんない?」
「いいよいいよ!うはー良い情報ありがとー」


全は嬉しそうに男子と話をして、男子も楽しそうだ。
俺は、2人の会話には入ることはなく黙々と弁当を食べ続けた。
それから、2人は二言三言話をすると、男子は違うところに行ってしまった。


「はー、良いこと聞いたわー」
「何の話?」
「ん?俺の集めている漫画が新作出てたって話」
「へぇ、」


さっきの男子は、そんな他愛ない話をする仲なんだなと思った。


「・・・・お前さ、」
「ん?」


顔を上げると、全が呆れたように俺を見ていた。
そんな表情をする理由が分からなかったので俺は首を傾けた。


「こういうときに話に入ってくれば良いのに」
「なんで?」
「話に入ればさっきの悠宇と接点持てたろ?」
「・・・・」
「お前に足りないところだよな」


やれやれと、肩を竦められる。


「・・・コミュニケーション苦手なんだよ」
「そう思うから苦手なんだよ。自分から行かなきゃ相手はやってこないぞ?」
「・・・分かっているさ」


全に言われなくとも痛いくらい分かっているつもりだ。