清都は歯を食いしばり、覚悟を決め力を抜き一気に引き離した。


「ふっ!ふっ!ふっ!!...ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」


爪が肉を抉る激痛に耐えながら、清都は右足を章太の手から引き離した。

清都は尻もちをつき、後退りしていると、川から章太が顔だけ浮かんできた。あの笑顔を見せながら。


「ひっ!ひ、ひぃぃぃぃ!!」


清都はすぐさま立ち上がり、更地を後にして無我夢中に走った。ゲロを吐きながらも全速力で家まで走って逃げた。

その後ろ姿を見ていた章太。
クスッと鼻で笑い、暗闇の川底へと消えていった。