私は話を続ける。


「タダでさえあなたは縛られてるんだと思うし、これ以上縛ろうとも思わない。少し体を楽にしたらどう?一ノ瀬財閥の御曹司さん?」
「でもFlower」
「大丈夫よ、私がいる限りあなたは死なないわ」


瑠衣はそっと笑った。
それすらも絵になるように。


「ありがとう」


瑠衣は白牙も立場も大切なのだろう。
それと同時に『笹木』と偽って皆を騙していることになる。
それは皆を守るための優しい嘘で。
この人がどれだけの重みを感じているのか、私には痛いほどわかった。